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フラメンコ舞踊の変遷1

70年代、曲のテンポは曲種全般において現在に比較するとかなり速く、振付はさほど複雑でなく、コンパスはノーマルなものでした。

80年代後半、パコ・デ・ルシアに続く新世代のギタリスト、ビセンテ・アミーゴなどの影響で、例えば、通常10拍目で止まるアレグリアスを9拍目の裏で止まるなど、変則コンパスが踊りに取り入れられるようになりました。その後、9拍目、8拍裏、7拍で止まるなど、奇をてらったコンパスも流行しだします。

曲のテンポについては、例えばソレアで1拍に6連符や8連符のサパテアードを入れる目的もあり、とてもゆっくりしたテンポへと変化しました。曲の構成についても、従来とは違う別の構成順序としたり、曲の途中で急に止まり別のテンポに移行するなど、やはり奇をてらった構成が流行しました。

曲の中で歌われるレトラも、例えばアレグリアスなどで、ポティートやペレの新種のアレグリアス(カンティニャスと呼ぶべき)が流行し、振付けもその歌に基づいたものとなりました。

踊の中のファルセータ部についても、ギタリストの技術と作曲力の向上に伴い、踊りの振りも大きく影響を受け変化しました。一方踊りは他の舞踊からの影響を受けて、また身体能力の向上とともにアクロバティック的な振りも生まれ、それがギターの伴奏音楽にも変化をもたらしました。

最近10年の動向については、不勉強であまり把握できていませんが、以前のオーソドックスなスタイルに戻ってきている感もあります。そこには、インターネットの普及により、過去の踊り手の優れた映像が簡単に見られ、フラメンコの原点である古い歌を系統的に勉強することもでき、大きく影響を受けていることが原因と考えられるのではないでしょうか。